経験って。


何かを経験をするとその「何か」に対してレベルが上がる。


これって、だいじょうぶ?


例えばPAをしていると色んな人の色んな音を経験します。
どんどん引き出しは増えていきます。
そして、こういう音を出しているバンドはこうこう
こんな感じ、っていう自分の持っている引き出しから
意識的にしろ無意識的にしろ「カテゴライズして」
それに当てはめていく。
これって、ほんとにだいじょうぶ?


経験を積む、ということが逆に
頭を固くしていく側面もありゃあしないでしょうか。


PAをやっていると、ほんと、その部分が悩みの種でありまして
例えばバスドラのチューニングをやって
一度、超いい音になったとします。
それを経験する。
すると、毎回そのチューニングにしてしまうし
そこから変えるのが怖くなってしまう。


コード進行を考える。
このコードの後に、このコードだとかっこ悪いな、と思う。
それを経験する。
するとそのコード進行が今後の選択肢から消える。


ギターの音作りをする時も。
一度トレブルをゼロにしてみたら凄くいい音が出た。
「トレブルゼロ最高!」ってなる。
その後、トレブルを上げるのが怖くなる。


ミックスをする時に、ギターの1kHzをカットしたら
ボーカルが凄くよく聞こえるようになった!
次から、なんとなく1kHzをカットしてしまう。


確かに上手にはなっていく。素早く良い物を出せるようになる。
そこから迷いが生じる。
あえて、昔ダメだった方法を取ってみると
昔より増えている経験がその「ダメだった方法」の潜在能力を引き出して
「物凄くいい方法」に変わってるかもしれない。
だから、物作りってのは無限に終わらない。



みたいなことを経験を積むことによって学んでいく。



正解なんて無い。
よく言いますが、それも迷う。
正解は、ある。
でも無いような気もする。
極限まで突き詰めた芸術家が自殺するのは、そういうことなのかな?


僕は芸術家じゃあないので自殺しません。ご心配なく!