言い訳を、させてくれ。


世の中には、すごい記憶力の良いやつがいる。
僕は残念ながらそういう人ではない。
昔っからすごく忘れっぽい。記憶力は、悪い。無い。
彼がワンタムだったかツータムだったか、覚えられない。
ぜんぜん覚えられない。


町を歩く。
必ず何人かウチで出演してる人、以前出演していた人に会う。
でも、誰か全然わからないことが多い。
とても多い。全然わからない。
彼は僕のことを「あだちさん」と呼んでくれる。
向こうは名前まで覚えてくれているのに、こちらは
名前どころか、どこで会ったのかさえも分からない。
すごく申し訳ないと思う。
足元を見て早足で歩く癖がつく。
声をかけてほしくないわけじゃない。


申し訳ないと思うのは前提として、
ここでいっちょ派手に「言い訳」をしようと思う。
君のことなんてどうでもいい、とかじゃないんだー
わかってくれー頼む


・人数が多すぎる
まじで多いんだ。人数が。
僕はひとつきに20〜22日くらいPAをしてるんだけど
平均5バンド
ひとつきにウチで何本もライブをするバンドは稀だから
約100バンドと顔を合わせていることになる。
1バンド平均3人と少なく見ても
ひとつきで約300人と言葉を交わしていることになる。
新しいバンドもどんどん来るから、
どんどん「見たことのある顔」は増えていく。
データが増えると、取り出すのに時間がかかる。
取り出そうとしている時の僕の表情を一言で表現すると、
それは「きょとん」だと思う。


・いつもは暗いライブハウスの中で会っている
太陽の下で見ると、ぜんぜん違うひとに見えても不思議じゃない。


・「バンド」として人を見ている
1人だと一瞬、誰かわかんない。


・「パート」として人を見ている
楽器を持ってないと一瞬、誰かわかんない。


・「楽曲の作者」として人を見ている
リハーサルで曲を聴いて、やっとこさ以前ウチに来たことがあると
思い出すことが多々ある


・名前を聞かない
忘れると失礼なので、はなっから聞かない。
だから逆に覚えられないという説もある


・目が悪い
基本、ぼやけている


・バンドに対する愛が足りない
そんなことは無いよ!


・バンドに対する愛が足りない
違う。


・バンドに対する愛が足りない


そうじゃないってば!キレんぞオルア!
あーーーもうギブミー凄い記憶力!